国立東京工業高等専門学校 物質工学科 北折研究室


職務経歴



民間研究機関における研究

 1983年4月から1991年7月まで、太陽誘電株式会社 総合研究所にて、磁気記録用強磁性金属微粒子の磁気特性の安定化と適性化に関する研究を行った。

 普及率の高い録画再生フェライトヘッドで、高い出力を得ることのできる金属磁性微粒子の合成とその電磁変換特性について検討を行った。磁性金属微粒子の研究は2つのアプローチで試みた。1つは針状α-Fe微粒子に他金属を添加合金化することで適性化(適度な値の保磁力と耐食性)を図った。

他の方法は、窒化反応させ強磁性γ-Fe4Nを合成することで試みた。結果は、どちらの方法でもビデオデッキで高い出力を得ることに成功した。

 磁性粉の合成は、化学反応論的な研究ならびに生産を睨んだプロセスの開発の両面から検討を行った。その結果、磁気記録に適する形状である針状(磁気異方性が高い)の形状を維持できるような反応条件を見出すことに成功し、セミ量産製造プラントを設計し、設備の導入と生産実験を行った。生産レベルは、月当たり1.5tである。

 この他、磁気特性変化の原因を把握し、特性の安定化を向上させ、磁気テープを作製する上での諸条件を幅広く、工学的見地から研究を行った。この研究の成果は、今後開発が進められる高品位磁気テープ開発の要となる技術であり、磁気テープの進歩に貢献したと考えている。

 以上の成果を論文化し、1991年3月に工学博士号を取得。

 1991年7月より98年2月まで、花王株式会社 情報科学研究所にて、機能性薄膜(真空成膜法を用いた磁気テープの研究)に関する研究を行った。

 具体的には、PVD(物理的気相成膜法)およびCVD(化学的気相成膜法)を駆使して、次世代用高品位ビデオテープの試作および研究を行った。主な研究テーマを以下に示す。

1.電子銃を用いて真空中で磁性金属を連続的に均一に蒸着させる技術の開発
2.新規磁性薄膜の探索
3.録周波数の短波長化に伴う磁気記録層の最適物性値の探求
4.磁性層の微細構造の解明
5.DLC(ダイヤモンドライクカーボン)薄膜の研究
6.ビデオテープのトライポロジーに関する研究

 特に、鉄を原料にした炭化鉄、窒化鉄磁性材料の研究においては薄膜の微細コラム構造、磁気特性をはじめ興味ある結果を多数見出した。また、磁気テープの評価システムとして、テープの剛性に関し独自の評価装置を開発し、特許ならびに論文で発表した。

 磁気記録関連の研究成果として、600件以上の特許を出願した。

 1998年2月から2000年12月まで、加工プロセス研究所にて花王全体の技術的支援に従事。

 2000年12月から2002年2月ヘルスケア研究所にて、花王にない新規商品の開発に注力。
 
 2002年2月から2003年3月まで、化学品研究所にて次期新商品の開発を行った。具体的には、化学、物理、電気工学を駆使した生活に役立つ電動道具の開発を行っている。昨年5月に新商品を出した。

 2003年3月から2004年3月末まで、C&S事業部にて新規商品の開発を担当。特に最近は、芽胞菌を対象とした殺菌剤と発生装置を含むそのシステムについて事業部にて商品化を進めている。

 2004年4月から現在独立行政法人国立高等専門学校機構、東京工業高等専門学校物質工学科教授